すさまじい仕事を見ました。

編集部の沢井です。

先日、建築家の三鍋光夫さんにお誘い頂いて、「孤高の庭師 田中泰阿弥展」に
お邪魔してきました。(※展覧会は既に終了しています)

田中泰阿弥は柏崎出身の庭師で、名前を聞くと大昔の人のようですが、明治生まれで
昭和の前半に活躍した、割と近代の人です。
銀閣寺の庭の復元などで知られていますが、新潟にもたくさんの作品(庭)が残っており、
新潟市江南区の伊藤邸(北方文化博物館)の庭や、先日このブログで鈴木が紹介していた
貞観園も泰阿弥さんの作です。

今回の展覧会の主宰は「田中泰阿弥研究会」の皆様。
文献や関係者の証言などから、日本全国に点在する泰阿弥作品を調査・特定して
集めた成果を展示していました。

会場はこんな感じで、氏の作品を写真と解説、平面図付きで展示。




















もちろん泰阿弥さんの庭も素晴らしいのですが、私はそれよりも研究会の皆さんの情熱に感嘆しました。





特に三鍋さんが描いた実測平面図がすさまじいんです。
アップにすると上の写真のように、砂利の一つ一つまで描き込まれているのが
お分かりかと思います。

厳しい相続税がある日本では、こういった庭のあるお屋敷が後世に残りにくい
現状があります。
泰阿弥さんの庭も、多くは取り壊されており、今後も少しずつ姿を消すかもしれません。
そんな中、研究会の皆さんのおかげで、こうして仕事が世に残る泰阿弥さんは、
幸せな方だと思いました。

一通り見終わったあと、三鍋さんとお茶を飲みながら少しお話ししてきました。
「最近、山陰の方でも泰阿弥の庭が見つかってね。また行って図面描かなきゃだよ」
と、億劫そうに仰っていた三鍋さんの顔は、どう見ても嬉しそうでした。

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