陰陽のメリハリがはっきりした、延床面積34坪のコートハウス

こんにちは、編集部の鈴木です。

少し前になりますが、12月10日(日)に燕市で開催されていたサトウ工務店のオープンハウス見学に行ってきました。
サトウ工務店の家づくり。それはミニマルなデザインで、余計な色や装飾を抑えた禅の精神を感じさせるような空間に特徴があります。
その設計やデザインは、構造的な安定感や日射取得、断熱性やプライバシーなど、人が快適かつ安全に暮らすうえで重要な、家としての合理性と表裏一体になっています。
ただシンプルさを突き詰めたかった…という理由ではなさそうなのです。
手掛ける家は耐震等級3(住宅の耐震性能を示す基準の最高等級)を取得。ものすごく開放的なつくりの家でも耐震等級3を取得するこだわりようで、同社代表・一級建築士の佐藤高志さんは、その解決策を見つけ出すことを楽しんでいるように感じられます。

その建築的な面白さから、オープンハウスは建築関係者にも人気。
私が訪れた時も、業界関係者が多く訪れ、マニアックな質疑応答がなされていました。

さて、今回のオープンハウス、どんな家だったかと言うと、コートハウスです。
しかも、コの字型や、中庭の一部を壁で囲うタイプではなく、ロの字型。完全に建物が中庭を囲むタイプのコートハウスです。

ではさっそく写真と共にご紹介…しますが、お客さんが多く訪れていたので、かなり遠慮がちに写真を撮りましたので、部分的な写真ばかりです。
全貌はぜひサトウ工務店のHPブログでご覧ください!

まずメインの空間であるLDKがこちらです。


南側に大きな掃き出し窓が2つ並び、その上には欄間窓が。
写真ではちょっと分かりにくいですが、勾配天井で外へと向かって空間が広がっていく設計です。
これにより、冬の日射取得がしやすく、冬でも日が出ればそれだけで暖まるのだそうです。私が訪れた時間帯は曇りでしたが、日が照っていた時間もあったようで、エアコンを使わなくても十分快適な温度に保たれていました。
中庭の半分くらいはウッドデッキ。まるで床が外まで続いているかのようです。
暖かい時期はアウトドアで食事やお茶を楽しむことができるでしょうし、雪が積もった冬の景色も良さそうです。
子どもはもちろん、大人も本気で雪だるまやかまくらを作って、そんな冬の風景を暖かいリビングから愛でる…なんて暮らし、想像するだけでワクワクします。


外を見ると庇の下には金属製のバーが。用途を聞き忘れてしまいましたが、物干し用でしょうか?キャンプ用のタープを取り付けることもできそうです。夏にヘチマでグリーンカーテンを作るのにも重宝しそうです。
また、庇が長く伸びているので、夏の日差しはここでカットできる仕組みです。

ここまで窓側を見て来ましたが、今度は逆サイドを見てみましょう。



なんとそこは一面の壁!窓がありません。使い方の自由度が高い造作の棚が一直線に伸びています。一方は窓、もう一方は壁。これにより室内の方向性がはっきりするため、自ずと目線は中庭へと誘われ、いっそう開放的な気持ちに浸れるのだと思います。
ちなみにこの壁を外から見るとこうなります。
完全なる壁!
こちらは隣に立つ建物の駐車場があるため、プライバシーを考えると極力開口部はない方がいいのです。窓がないことで断熱性能を高めやすく、サッシに掛かるコストも抑えられていると考えられます。

リビングの一角には4.5畳の小上がりスペースも。ここは少し籠り感のある空間なので、昼寝用としてもちょうど良さそうです。
ベンチのように腰を掛けるのにもいい高さとなっています。

奥にあるキッチンはメーカーの製品を置くのではなく、造作キッチンに。
メーカー製か造作か?これはそれぞれに性質が違うので、どちらがいいとは言えませんが、空間との一体感をつくれるのは造作ならではですね。
キッチンからも中庭が眺められます。

気になる中庭を挟んだ部屋はこちら。LDKと比べると窓は小さめにして落ち着ける空間にしています。10.5畳の空間は中央で仕切れば2つの子ども部屋としても使えます。



子ども部屋の窓から中庭越しにLDKが見えるのがいいですね。
プライバシーを大切にしながら、個室とリビングの一体感もあります。

西側の子ども部屋の横から廊下越しにキッチンが見えます。

東側の子ども部屋の横から廊下越しにリビングが見えます。
光を抑え気味にした廊下のおかげで、LDKの明るさが強く感じられます。

明るく気持ちのいいリビングで暮らしたい、というのは多くの人が思うこと。
ですが、光を抑えた空間で落ち着いて過ごしたいときもあります。
特に寝るときは、程よい狭さの方が安心できるものです。

この住まいは、コートハウスであると同時に、陰陽のメリハリもはっきりしており、それが建築としてシンプルに形になっています。
(陰陽イメージ)

建築好きの心をくすぐるサトウ工務店の住まいでした。
HPに並ぶ施工実例から、それぞれの住宅にどんな設計の意図が隠されているか?
それを想像しながら見てみるといっそう楽しめると思いますよ!

ハウジングこまち編集部 鈴木

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