テーマは「まちなか山荘」。築10年目のオープンハウスにおじゃましました

こんにちは、編集部の鈴木です。

家づくりを考え始めている方の中には、週末などに住宅会社が行う完成見学会(オープンハウス)情報に目を光らせている人も多くいらっしゃると思います。
モデルハウスとは異なり、実際に住宅会社と施主さんが一緒に造り上げているという点で、たいへん参考になる実例です。
そんな見学会は、基本的には施主さんに引き渡す直前などに行うのが一般的。当然暮らし始めてからの見学会は、施主さんからよほどの協力を得られない限りは不可能でしょう。
しかし先週末の12月10日(日)の1日だけ、築10年目になるという住まいのオープンハウスが行われました。

その住まいは、新潟市西区坂井にある山川建築事務所の代表・山川潤さんのご自宅兼事務所です。
テーマは「まちなか山荘」。グレーで塗装された板張りの外壁の住まいは、新潟大学前駅の近くのまちなかにありながら、植栽も相まってまさに山荘のような雰囲気です。
建物手前の駐車スペースには、キャンプ好きな山川さんのルノーの黄色いカングーが止まっています。

一般のお宅でこのようなオープンハウスは難しいものですが、建築事務所を営む山川さん自身の自宅だからこそ可能となっています。しかも新築直後ではなく、10年目。
家は数十年住んでいくものですので、むしろ時間が経過した住まいの方が気になるものではないでしょうか?
私もここぞとばかりに朝一番でおじゃましてきました。

またしても、単焦点の標準レンズで撮影をしたために空間の全貌が分かる写真がありませんので、引きの写真を見たい方は山川建築事務所のHPやFacebookページでご確認ください。

まずはアプローチ。12月ですので木々の葉が落ちていますが、春には新芽が顔を出し、夏は葉っぱにより玄関が程よく目隠しされそうです。
表札はコールテン鋼製。錆がそのまま味わいになっています。
木製の玄関ドアも雨風により色が変化。これもまた、素材の良さを感じさせます。
こちらは玄関土間。よくある豆砂利洗い出しとは異なる、もっと素朴な味わいを感じさせる仕上げです。
靴を脱ぎ家の中に入っていくと、正面には大きな木製サッシが連なります。すべて戸袋に引き込めるので、暖かい時期は全開にして開放的に過ごせます。まさに山荘のようなつくりです。
2階の吹き抜けから見ると、奥に広いウッドデッキが見えます。こちらも暖かい時期は食事をしたりお茶をしたりと楽しく使えそうですね。
珍しい薪ストーブが置いてあります。こちらは建築家の中村好文さんのデザインなのだそう。ガラス窓がないデザインが特徴的で、外国製の重厚な薪ストーブとは違い、さっぱりとしていて、台形の形がかわいらしいです。
LDKにはウォルナットの天板を使った大きなダイニングテーブルに、造り付けの大きなソファー。後ろの壁を絵画が彩っています。「右下と左下の絵は作家さんの作品で、他はわが家の作家さん(子ども)達の作品です(笑)」と山川さん。
大人数で使えるダイニングテーブル&ソファがあるリビングですが、山川さんが友人に依頼して音楽イベントを開いたこともあるそうです。
ゆとりある空間は、たしかにイベントやパーティーにうってつけ。ただ住むだけではなく、どんな暮らしを楽しみたいかが明確で、それが形になっています。
キッチンはステンレスの天板に、杉の面材、持ち手にはウォルナットを組み合わせたものを使用。自然素材がふんだんに使われた空間と一体化していて素敵でした。カウンターの上に置かれたKalita(カリタ)の銅製ケトルも使い込んで味わいが出ています。

床は杉の無垢フローリング。山川さんは、「ワックスをもう少し頻繁に掛けなければいけないんですが…」と笑いつつも、表面の艶や思い出と共に増えていく傷に満足そうなご様子でした。

お風呂は檜風呂。追い炊きができないそうですが、保温力があるのでお湯の温度が下がりにくいそうですよ。
夫婦二人とも建築士という山川建築事務所。
お二人の感性が融け合った優しい住まいは、これからの経年変化も楽しみです。
今回の見学会は5年ぶりということでしたが、今後は毎年開催したいという話でした!
竣工直後とは違う、リアルな見学会。
ご興味のある方は、山川建築設計事務所のHPFacebookページをチェックしてみてください。

ハウジングこまち編集部 鈴木

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